沖縄面白本棚

日々の活字チュウ毒生活の本から これは面白い本!を紹介します。 このブログで紹介するジャンルは、ノンフィクションを中心にあまり有名ではないが、読むと面白い本です。もちろん沖縄本も紹介しますね。

2014年05月

今日、初めて川口一箱古本市に行ってきた。

参加者にそれぞれ声をかけながら古本を見て気にいた本を買うのが楽しい。

特に池袋で古本屋を営業している「ますく堂」の店主増田さんとお話しできたのが楽しくて、
広島カープファンの店主は交流戦で負けているカープの順位が心配顔。
さらに初めて参加されている方とか、家族で参加している方がいて本を介して会話できるのが面白い。
特に印象に残った店主が、絵描きの人で、知り合いの本を販売していて、
その本が国立博物館に勤務している知人の本で、店主からいろいろ熱心に説明を聞くと思わず
追加で2冊買った。店主の思い入れの本が一番欲しくなるねえ。

1時間位滞在して、以下7冊をゲット!
また来年も行ってみたい。
もしできれば、店主として参加するともっと楽しそうだなあ。(できるかなあ楽しみ!)

①田舎力 
  金丸弘美(HNK出版)

②博物館に行こう
  木下史青(岩波ジュニア新書)

③戦死やあわれ
  竹内浩三(岩波現代文庫)

④独学の精神
  前田英樹(ちくま新書)

⑤酒乱になる人、ならない人
  眞先敏弘(新潮新書)

⑥カープ魂33の人生訓
  坂上俊次(サンフィールド)

⑦古本道場
  角田光代・岡崎武志(ポプラ社)
 
 http://khitohako.blogspot.jp/

5
本書は和田竜の小説第四作目であり、四年の歳月をかけて書き上げた、待望の本格歴史小説である。

舞台は、織田信長の最大の強敵である大坂本願寺(一向宗)と信長との10年におよぶ死闘である、
石山合戦の間に起きた二つの戦いである。

一つ目の戦いは、天正4年5月に始まった陸上での戦い「天王寺砦の戦い」であり、
そして、二つ目の戦いが天正4年7月に始まった海上での戦い「木津川口の戦い」である。
物語を簡単に説明するため、それぞれの勢力関係を記すと、
陸上戦では、織田方には泉州(大阪)侍がつき
大坂本願寺側には雑賀孫一率いる鉄砲隊がついている。
海上戦では、織田方には真鍋海賊がつき、本願寺側には、毛利家と村上海賊がついている。

この小説の主人公である、景姫のキャラクターが実に魅力的である。
景姫は日本最大の海賊、村上海賊の能島村上家当主である村上武吉の娘であるが、
彼女は男まさりの武術で海賊働きにあけくれていた。
上巻では、景姫のユニークなキャラクターが満載で、読んでいて楽しく漫画に近い描写が随所にあった。
著者の景姫の容姿描写はこんな感じである。
「貌は細く、鼻梁は鷹の嘴(くちばし)のごとく鋭く、そして高かった。
その眼は眦(まなじり)が裂けたかと思うほど巨大で、眉は両の眼に迫り、眦とともに怒ったように
吊り上がっている。口は大きく、唇は分厚く、不適に上がった口角は、鬼が微笑んだようであった。」と
この描写の文章を読んでいると、景姫は西洋的で強そう女子の顔が想像できる。
そんな容姿の景姫に、なぜか敵である、本願寺側の門徒である留吉(孫)と源爺さんには、好かれた。
門徒である留吉と源爺は、盗賊に囚われの身になった時に景姫に助けられ、陸上戦である天王寺砦の近くまで
送ってもらった。

門徒を送った先で、偶然ではあるが、景姫は、海賊家への輿入れ先を求めて、泉州侍と真鍋海賊に接触
できた。その時に真鍋海賊の口からこんな言葉が出た。
「えらいべっぴんさんの姫さんやなあ~」。
いつも共に行動している弟の景親は不思議に思う?
え?なぜこの泉州侍共は姉の景をそんな風に見るのか?
実は、泉州侍共は、景姫の事を「べっぴん」と言ったわけは、顔の造作ばかりではない。
景の性格と女にも激しさを求める為に、好みと合致したのだ。
その中で特に景に惚れたのは、真鍋海賊の若き当主の真鍋七五三兵衛(しめのひょうえい)であった。
この若き当主とは、のちに死闘をするとは、初対面した時の景には思いもよらなかった。

下巻の最大の盛り上がるところは、下巻半ば頃から始まる、この小説の最も息をのむほどの激戦である
木津川口の戦いの真鍋海賊と村上海賊の戦いである。
上巻で、気軽に話かけてきた真鍋海賊たちが海賊の本性を出して、
戦に臨む海賊たちになり、勝つため、生き残るためには手段を選ばない。
その戦い方は、計算された戦いであり、残虐で壮絶である。
前半は村上海賊が必殺の焙烙玉(手榴弾)攻撃で優勢であったが、
真鍋海賊の七五三兵衛も巨体から投じる銛が威力を発揮して反撃に出る。

その戦いに女である景が巨人の真鍋七五三兵衛と戦うシーンが一番壮絶である。
景!頑張れ~と思わず声が出てしまうのは、自分だけではないだろう。

その結果は、小説を読む楽しみとして残しておこう。

ただ一言付け加えるとしたら、二人に対して、何故そこまで戦うことができたのかと叫びたいし、
涙が出るほど、心から二人を応援したくなる。










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4
昨年12月に出た椎名誠、面白エッセイ本。

犬の話から、車で観にいった風景から、
最初にもらった原稿料の話と、話があっちいったり、
こっちにきたりと、忙しいエッセイ本である。

特に面白かったところは、この話。

「かごむ」
千葉の方言でかがむことを、「かごむ」というらしい。
そこで、シーナの友人に沖縄の人がいて、
とっさに出る言葉で面白い言葉がある。

「あぎじゃびよう」
?何語なんだ~と本土の人は思うかもしれないが、これはウニナーンチュの
自分も昔よく使っていた言葉さぁ。
この言葉の意味は、「あれま」、「ひゃあ」、「なんてこった」、「まいった」、「びっくりした」、
「そうか!」、「いやはや」とか、感嘆詞の一種で、いろいろな場面で応用して使える
すばらしい言葉さぁ。
そこで、シーナは考えた。
この言葉を強引に状況に応じて、五段活用の言葉にしたらどうなるか?

①あぎじゃびりたい
②あぎじゃびるとき
③あぎじゃびれば
④あぎじゃびよう
⑤あぎじゃびった

あははは。面白い言葉になってしまった。
ウチナ~んちゅは、かなり笑ってしまった。

この本には無いが、もう一つ応用範囲が広い便利な言葉が沖縄にはある。

「だからよ~」

これは、相手の言葉を受けて、そうだよね~、同じ考えさぁとか、
相槌を打つ言葉だが、使用方法によっては、かなり便利である。

「今日はいい天気だねえ。」 「だからよ~」
「大変、財布忘れたさあ、どうしよう?」 「だからよ~」

上司から叱られていても使えます。こんな感じ。
「〇〇君、なんでこんな簡単なミスをしたんだ?」 「だからよ~」

指摘して怒っている上司も、あれ?今なんで怒ったんだっけ?と忘れてしまいそうに
上手く逃げるのに、便利な言葉だ。

今、こうやって、文字に書いてみると不思議な言葉を使っていたんだねえ、昔の自分。

シーナ本、面白いから読んでねえ。「だからよ~」。



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