レジに持って行ったおにぎりをバーコード読み取る時に、
「ピー」という音が出た。
あれ?、金属が入っていた?
ではなくて、
販売期限が過ぎていたのを、店員が忘れたらしい。
「お客さま、すみません、別の商品に替えてきますので、少々お待ちください。」
この販売期限がコンビニ経営に痛手になっていることを、その時は知らなかったが、
本書を読むとよく分かる。
コンビニ独特の販売期限というルールがある。
例えば、賞味期限が30日の商品があると、30×1/3=10日なので、
あと、10日で賞味期限という時点が販売期限。
これを、「3分の1ルール」というらしい。
この方式は、食の安全を考えてのことだろうが、店長にとっては大変。
1日に出る食品関連の破棄する量は、15kgもある。
その破棄を少なくするために、店長が考えて工夫するのは、
販売期限に近くなるに従って、値段を下げていく、タイムセールみたいなもの。
しかし、本部があまり良い顔をしないらしいので、実際にやっている店はあまり見ない。
他に、気になった点は、コンビニ独自の会計方式。
通常の会計計算式では、
粗利=売上高ー売上原価になるが、
コンビニ会計では、
みかけ上の粗利=売上高ー純売上原価。
純売上原価には、廃棄ロスは含まれず、ロスは店長側の営業経費であると。
オーナーがコンビニ本部に払うロイヤリティーの計算のベースが
見かけ上の粗利になる。
そうすると、廃棄ロスが入ってない分、粗利は高くなるので、
払うロイヤリティーも高くなって経営は苦しくなるという流れ。
本書では、他に美人店員の話とか、面白いお客の話とか
コンビニは世の中の人間模様を知るためには勉強になる場所かもしれない。
ぜひ、この著者がいるコンビニに
「NHK・ドキュメント72時間」で3日間張り付いて放送して欲しい。
面白い人間模様が見えて、涙が出てくるだろう。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
日本全国に5万店以上あり、原則24時間、365日営業で飲食料品はもちろん、各種サービスも豊富で、コンビニは今や我々にとって欠かせない存在となっている。ただ、その分、従業員への負担は増える。ひときわツライ立場にいるのが店長(オーナー)だ。当然、残業代なんていうものは出ない。食卓に廃棄弁当が並べられるのは当たり前。恵方巻きなどのキャンペーン商品でノルマ未達だと自腹購入もする。そして、トンデモ客に翻弄される姿には哀愁が漂う。そんなコンビニ店長の奮闘記。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 新春から店長は七転八倒(元日~3月)(年明け最初のお買い上げは194円也/悩ましい雑誌の立ち読み問題 ほか)/第2章 年度初めも波瀾万丈(4月~6月)(コンビニの売上は「立地」で決まる/出店前の研修は軍隊式 ほか)/第3章 真夏の黒い事件簿(7月~9月)(お中元の予約受注に四苦八苦/深夜働く主婦に情が移る ほか)/第4章 冬に向かって撃て!(10月~12月)(お祭りは稼ぎ時/「貸せ貸せ星人」が来襲する ほか)
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
三宮貞雄(サンノミヤサダオ)
中核都市の郊外でコンビニ店を営むオーナー店長。大学の経済学部を卒業後、いったんはメーカーに就職するも、会社の早期退職制度を利用して退職。ある大手コンビニチェーンのフランチャイズ店の店長として働いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)